即時抗告を行い、相続放棄が認められた例

 
依頼者である小沢さん(仮名)は、祖父が死亡し、遺言書により遺産の一部を相続することになりました。

 

遺産の全容については、後日、相続人の一人でもある遺言執行者から通知があるとのことだったので、遺産目録が送られてくるのを待っていたところ、祖父には莫大な債務があり、その債務の一部(遺言書で小沢さんに遺された財産よりも多額)を相続することとなってしまった。

 

この時、既に、相続放棄を行う期間は経過してしまっており、地裁は相続放棄を認めなかったが、高裁に即時抗告を行い、相続放棄が認められた。
 

【相談内容】

 
疎遠になっていた祖父が亡くなり、孫である自分も相続人の1人になったという小沢さん(仮名)からご相談を受けました。

 

被相続人である祖父は、遺言書を残しており、財産のほとんどは1人の相続人(小沢さんの甥)に相続されることとなり、小沢さんを含む数人の相続人は、生前祖父が経営していた会社に対する債権の一部を相続するとの内容でした。

 

しかし、遺言書には債務についての記載がなく、小沢さんが相続する債権についてもどのようなものなのか、回収可能性があるのかは、分かりませんでした。

 

遺言書を確認して、しばらくしてから、ほとんどの財産を相続することになった甥が遺言執行者となり、遺産目録を作成し、通知をするとの連絡がありました。

 

当初、1ヶ月程度で通知があるはずでしたが、半年ほど経過してからしてから通知が来ました。小沢さんはそこで初めて祖父に莫大な負債があることを知りました。

 

相続人の債務は、遺言書に記載がなければ、相続人が法定相続分により相続することが原則です。

 

小沢さんは、回収できるかどうかもよく分からない債権を相続するのと同時に、数百万円の債務を相続することになってしまいました。

 

そして、この時点では、すでに相続放棄の熟慮期間である3ヶ月が経過していて、相続放棄をすることが出来なくなっていました。
 

【解決内容】

 
私たちは、家庭裁判所に相続放棄の申述をしました。

 

その際に、相続の開始を知った時からは、すでに3ヶ月が経過していましたが、債務を知った時からは3ヶ月以内なので、相続放棄は認められるべきとの主張を行いました。

 

しかし、家庭裁判所では、今回の事情を十分考慮せず、形式的に相続の開始を知った時(最初の遺言執行ゃからの通知の時点)から3ヶ月を経過しているということを理由に、相続放棄を認めませんでした。

 

そこで、私たちは家庭裁判所の判断が不当であるとして、高等裁判所に即時抗告を行いました。

 

即時抗告においては、小沢さんは遺言執行者からの遺産目録の通知が来るのを待っていてために債務を知ることが遅れてしまったので、このことについて小沢さんに責任はないこと、祖父は会社経営をしていたが、小沢さんは祖父とは疎遠となっていたので、祖父の債務の内容を知りようがないし知る術もなかったこと、などを主張しました。

 

私たちは高等裁判所に様々な資料や上申書を提出し、粘り強く主張を試みたところ、高等裁判所は私たちの主張を認め、相続放棄が受理されました。

 

小沢さんは、もし債務を相続することになったら、破産をするしかないと大変心配していましが、結果として、相続放棄が認められ、大変喜んで頂けました。

 

本件のようなケースは判例も様々なものがあり、事案によって裁判所の判断も分かれるところなので、今回は最終的にいい結果となりましたが、やってみないと分からないという部分もあります。

 

相続人が自営業などをしていて債務があることが想定される相続が発生した時は出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

 

また、今回のように相続放棄をするかどうか簡単に判断出来ないような場合には、相続放棄申述期間の延長という手続きを用いることも出来ます。